顧客満足度アンケートの作り方を徹底解説!すぐに使える質問例と分析のコツ

25 2025.07

アンケート活用事例

目次

顧客満足度アンケートは、自社の商品やサービスをより良くし、顧客との良好な関係を築くために不可欠なツールです。しかし、「何から始めればいいのか」「どんな質問をすれば効果的なのか」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、顧客満足度アンケートの基本的な知識から、具体的な作成手順、すぐに使える質問例、そして結果を次のアクションに繋げるための分析方法まで、網羅的に解説します。
顧客満足度アンケートの作り方を徹底解説!すぐに使える質問例と分析のコツ

顧客満足度調査(CS調査)とは?

顧客満足度調査(CS調査)は、顧客が自社の商品やサービスに対してどれくらい満足しているかを可視化するための調査です。アンケート形式で実施されることが多く、顧客の主観的な評価を定量的に把握し、事業の成長に役立てます。

顧客のリアルな声を事業改善に繋げる調査

顧客満足度調査の本質は、単に満足度を測るだけでなく、その背景にある「顧客のリアルな声」に耳を傾けることにあります。顧客が「なぜ満足しているのか」「どこに不満を感じているのか」を具体的に知ることで、サービス改善や新商品開発の的確なヒントを得ることができます。これにより、企業本位ではなく、顧客のニーズに基づいた意思決定が可能になります。

なぜ今、顧客満足度が重要なのか

現代の市場は、モノやサービスで溢れかえっており、品質や価格だけで他社と差別化することが難しくなっています。このような状況下で顧客に選ばれ続けるためには、商品購入やサービス利用といった一連の「顧客体験(CX)」全体の価値を高め、顧客からの信頼や愛着(顧客ロイヤルティ)を育むことが重要です。顧客満足度の向上は、この顧客ロイヤルティの土台となり、企業の長期的な成長を支える鍵となります。
顧客満足度調査の主な目的

顧客満足度調査の主な目的

顧客満足度調査を成功させるには、まず「何のために調査を行うのか」という目的を明確にすることが重要です。目的によって、調査の設計や質問項目が大きく変わってきます。

商品・サービスの品質改善点の発見

顧客が現状の商品やサービスに対し、どこに満足し、どこに不満を抱いているのかを具体的に把握することが、最も基本的な目的です。調査によって明らかになった課題点を改善し、評価されている点をさらに伸ばすことで、商品やサービスの品質を継続的に向上させることができます。
調査で分かること 改善アクションの例
機能面での不満 次期アップデートでの機能改修
価格に対する不満 料金プランの見直し、コストパフォーマンスの訴求強化
スタッフの対応への不満 接客トレーニングの実施
Webサイトの使いにくさ UI/UXの改善プロジェクト立ち上げ

顧客ロイヤルティを高めリピーターを育成

満足度の高い顧客は、商品を繰り返し購入してくれる「リピーター」になる可能性が高いです。調査を通じて、価格、品質、サポート体制など、様々な顧客体験における満足度を測ることで、リピート率向上に繋がる改善ポイントを特定できます。「今後も利用し続けたいか」といった継続利用意向を問う質問を設けることで、満足度とリピート意向の相関関係を分析することも可能です。

競合他社との差別化ポイントの明確化

自社の顧客だけでなく、競合他社のサービスを利用しているユーザーにも調査を行うことで、市場における自社の立ち位置を客観的に把握できます。競合と比較した際の自社の「強み」と「弱み」が明確になり、どの部分で差別化を図るべきか、マーケティング戦略を立てる上で重要な示唆を得ることができます。
顧客満足度を測る代表的な指標

顧客満足度を測る代表的な指標

顧客満足度は目に見えないものですが、適切な指標を用いることで数値化し、客観的に評価・分析することができます。目的に合わせて指標を使い分けることが大切です。

CSAT(顧客満足度スコア):直接的な満足度を測る

CSAT (Customer Satisfaction Score) は、「〇〇(商品・サービス)にどの程度満足していますか?」といった直接的な質問で満足度を測る、最もシンプルな指標です。「非常に満足」「やや満足」など5段階で評価してもらうのが一般的で、特定の体験やサービスに対する顧客の短期的な評価を把握するのに適しています。

NPS®(ネット・プロモーター・スコア):顧客ロイヤルティを測る

NPS® (Net Promoter Score) は、「この商品を友人にどの程度すすめたいですか?」という質問を通じて、顧客のロイヤルティ(企業やブランドへの信頼・愛着)を測る指標です。「満足」という感情だけでなく、「推奨」という未来の行動に繋がるかどうかを測るため、企業の収益性との相関が高いとされています。回答者を「推奨者」「中立者」「批判者」に分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いてスコアを算出します。

▼関連記事
NPS®調査とは?業績に直結する注目の調査方法を分かりやすく解説!

CES(顧客努力指標):顧客の負担度を測る

CES (Customer Effort Score) は、「問題解決のために、どれくらいの労力がかかりましたか?」といった質問で、顧客が目的を達成するまでにかかった負担度を測る指標です。特にカスタマーサポートの品質評価などで活用され、このスコアが低いほど、顧客はストレスなくサービスを利用できていることを示し、顧客満足度の向上に繋がるとされています。
顧客満足度アンケートの実施手順

顧客満足度アンケートの実施手順

効果的な顧客満足度アンケートは、計画的な手順に沿って進めることで実現します。ここでは、目的設定から分析までの6つのステップを解説します。

手順1:調査の目的と仮説を明確にする

まず、「何を知りたいのか」「調査結果をどう活用したいのか」を具体的に定義します。「リピート率低下の原因を探りたい」といった課題に対し、「価格設定に不満があるのではないか」「競合A社の新サービスのほうが魅力的なのではないか」といった仮説を立てることで、必要な質問項目が明確になります。

手順2:調査対象者と実施タイミングを決める

次に、誰にアンケートを依頼するのかを決めます。「直近3ヶ月以内の商品購入者」「特定の機能を利用しているユーザー」など、目的に合わせて対象者を具体的に設定します。また、サービス利用直後など、顧客の記憶が新しいうちに実施することで、より正確な回答を得やすくなります。
目的 対象者の例 最適なタイミングの例
新機能の評価 新機能を一度でも利用したユーザー 機能利用直後
購入プロセスの満足度 商品を購入した全ユーザー 商品購入完了ページ、または購入完了メール
年間の総合満足度 全ての既存顧客 年末、または年度末

手順3:調査方法(ネット、対面など)を選定する

対象者に合わせて最適な調査方法を選びます。Webアンケートは低コストで多くの人にアプローチできますが、いわゆる「深掘り」や本音を引き出すというのには不向きです。対面や電話でのインタビューは、より深い意見を引き出せる可能性がありますが、コストと時間がかかります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、選択することが重要です。

手順4:目的達成に向けた質問を設計する

これまでのステップで明確にした目的と仮説に基づいて、具体的な質問を作成します。専門用語を避け、誰にでも理解できる平易な言葉で、一つの質問では一つのことだけを問うように心がけましょう。

手順5:アンケートを配布・回収する

作成したアンケートを対象者に届けます。メールでの依頼、Webサイトでのポップアップ表示、レシートにQRコードを印刷するなど、顧客との接点に合わせて様々な方法があります。回答期限を設け、協力を依頼しましょう。

手順6:結果を集計・分析する

回収した回答データを集計し、分析します。単純な集計だけでなく、属性ごとに比較するクロス集計などを行い、課題や改善のヒントを見つけ出します。分析結果は、分かりやすいグラフなどを用いて報告書にまとめ、関係者と共有します。
「アンケート」に関して詳しく解説している記事もありますので、併せてご覧ください。
▼関連記事
アンケートとは?定義や目的、種類、質を高める方法を解説
【例文付き】すぐに使えるアンケート質問項目集

【例文付き】すぐに使えるアンケート質問項目集

ここでは、様々な目的に応じたアンケートの質問項目例をご紹介します。これらをベースに、自社の商品やサービスに合わせてカスタマイズしてください。

回答者の属性を把握する質問

分析の軸となる、回答者の基本的な情報を伺います。
Q. あなたの年代をお知らせください。
20代
30代
40代
50代
60代以上

Q. あなたの職業をお知らせください。
会社員
公務員
自営業
パート・アルバイト
学生
その他

商品・サービスの利用状況に関する質問

顧客がどのように商品・サービスと関わっているかを把握します。
Q. 当社のサービスをどのくらいの頻度でご利用になりますか?
週に2〜3回以上
週に1回程度
月に1回程度
数ヶ月に1回程度
今回が初めて

総合的な満足度を問う質問

全体的な評価を測るための、最も基本的な質問です。
Q. 当社のサービスに対する総合的な満足度を5段階でお聞かせください。
非常に満足
やや満足
どちらとも言えない
やや不満
非常に不満

要素別の満足度を深掘りする質問

満足・不満の具体的な要因を特定するために、要素を分解して評価を伺います。
項目 非常に満足 やや満足 どちらとも言えない やや不満 非常に不満
価格
品揃え・機能
デザイン
スタッフの対応

継続利用や他者への推奨意向を測る質問

顧客ロイヤルティや将来の行動を探ります。
Q. 今後も当社のサービスを利用し続けたいと思いますか?
そう思う
ややそう思う
どちらとも言えない
あまりそう思わない
そう思わない

Q. このサービスを、ご家族やご友人にどの程度すすめたいと思いますか?(0〜10点でお答えください)
0点(全くすすめたくない)
1点
2点
3点
4点
5点
6点
7点
8点
9点
10店(非常にすすめたい)

評価の理由を探る自由回答の質問

数値データだけでは分からない、定性的な意見や具体的なエピソードを収集します。
Q. 総合満足度の設問でそのように評価された理由を、具体的にお聞かせください。
Q. 当社のサービスについて、改善点やご要望がございましたら、ご自由にお書きください。
アンケート結果を改善に繋げる分析方法

アンケート結果を改善に繋げる分析方法

アンケートは実施して終わりではありません。集まったデータを正しく分析し、次のアクションに繋げることが最も重要です。

単純集計で全体の傾向を掴む

各質問の回答が、選択肢ごとにどれくらいの割合であったかを集計する最も基本的な方法です。これにより、「満足と回答した人が全体の70%」「認知経路はSNSが最多」といった全体の大きな傾向を把握することができます。

クロス集計で属性ごとの違いを発見する

年齢や性別といった「回答者の属性」と、「満足度」などの回答を掛け合わせて分析する手法です。「20代の満足度は高いが、40代の満足度は低い」「男性は価格を重視し、女性はデザインを重視する傾向がある」など、より深いインサイトを発見できます。この結果から、特定のターゲット層に向けた改善策を検討することができます。

▼関連記事
【マーケター必見!】クロス集計(クロス分析)とは?わかることやメリット・デメリット、見方を解説

ポートフォリオ分析で改善の優先順位を決める

各評価項目(価格、機能、デザインなど)の「重要度」と「満足度」を二次元のマップ上に配置し、改善すべき項目の優先順位を視覚的に判断する分析手法です。一般的に、「重要度は高いが満足度は低い」領域に入った項目が、最も優先的に改善すべき課題となります。
顧客満足度アンケート実施時の注意点

顧客満足度アンケート実施時の注意点

より正確で正直な回答を得るためには、アンケートの設計段階でいくつかの点に注意する必要があります。

回答者の負担を最小限に抑える

質問数が多すぎたり、回答に時間がかかりすぎたりすると、回答者は途中で離脱してしまいます。回答時間は5分以内を目安とし、質問数は10〜15問程度に抑えるのが理想です。自由記述の設問は最低限にし、選択式の質問を中心に構成しましょう。

質問の聞き方でバイアスをかけない

質問文が特定の回答を誘導するような表現になっていないか注意が必要です。例えば、「弊社の強みであるサポート体制にご満足いただけましたか?」といった聞き方ではなく、「サポート体制の満足度についてお聞かせください」のように、中立的な表現を心がけましょう。このような意図しない偏り(バイアス)は、データの信頼性を損なう原因となります。

個人情報の取り扱いは慎重に行う

アンケートで得た個人情報の利用目的を明確に記載し、プライバシーポリシーを遵守することが不可欠です。回答者が安心して本音を語れる環境を整えることが、質の高いデータを集めるための第一歩です。

まとめ

顧客満足度アンケートは、顧客の声を直接聞き、商品やサービスの改善に繋げるための強力な手段です。成功の鍵は、調査目的を明確にし、適切な手順で実施し、そして結果を真摯に受け止め、具体的な改善アクションに繋げていくことにあります。本記事で紹介した手順や質問例を参考に、ぜひ自社の顧客満足度向上への第一歩を踏み出してください。

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