目次
定性調査を実施する目的は、消費者インサイトの深堀りにあります。数値ではわからない調査対象者の行動や心理などの情報を取得し、分析する場合に適したリサーチです。また、仮説を構築するために行われることもあり、少数の対象者と対面して調査を進行することで、消費者の生の意見一つ一つに着目して分析を行います。
定性調査と定量調査の違いは?
【関連記事】「定量」と「定性」の違い
目的とアプローチの違い
一方、定性調査は前述の通り「言葉」や「文脈」を把握することが目的です。「どのような改善を望んでいるか」「どんな生活シーンで使われているか」といった、数値化できない具体的な情報を集め、仮説を発見するフェーズに適しています。アプローチとしても、定量調査が「広く浅く」大量のサンプルを集めるのに対し、定性調査は「狭く深く」少数の対象者から濃い情報を引き出すという違いがあります。
定性・定量調査の使い分け比較表
| 項目 | 定性調査 (Qualitative Research) |
定量調査 (Quantitative Research) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 仮説の発見、原因の深掘り | 仮説の検証、実態の数値化 |
| 得られるデータ | 言葉、文章、画像、行動履歴 | 数値、グラフ、統計データ |
| 回答の形式 | 自由回答、インタビュー形式 | 選択式(はい/いいえ、5段階評価など) |
| サンプル数 | 少数(数人〜数十人) | 多数(数百人〜数万人) |
| 代表的な手法 | インタビュー、行動観察 | ネットリサーチ、会場調査(CLT) |
| 分析の視点 | 心理や文脈を読み解く(解釈) | 統計的に処理する(集計) |
定性調査で得られる情報
対象者と直接会話をしながら質問を深めていけるため、以下のような要素を把握できます。
・製品やサービスを購入・利用するに至ったプロセス、心理的な変化
・他社製品・サービスからスイッチした理由
・製品やサービスの具体的な使い方
・製品やサービスを使った時のベネフィット、不満点
・広告を見た印象など
定性調査を実施する目的

定性調査の主なやり方
グループインタビュー(FGI)
ヒアリング項目に制限がないことから、アンケートでは得られにくい自由な発言や感想といったデータを収集することが出来ます。また他者の意見への共感や気付きから、発想・視点が広がる「グループダイナミクス」が期待されます。
ただ声の大きいモニターの意見に流され、自分の意見を正直に言えなくなってしまうなどの弊害も起きる可能性があるので、その点は注意が必要となります。
【関連記事】グループインタビューとは?調査の流れやメリット・デメリットを徹底解説
デプスインタビュー(DI)
モデレーターとの対談形式になるので、じっくり意見を聞くことができ、商品の購買行動や態度変容などカスタマージャーニーを深堀り、調査主体が想定していない意見を引き出すことなど、新しい仮説を発見出来る可能性があります。
グループインタビューと異なり1人ずつ実施するため、周囲の意見に流されるなど本来の意見と異なることを言ってしまうなどのリスクは軽減されます。
また個人のセンシティブな事柄も話しやすくなるなども期待できます。
【関連記事】インタビュー調査とは?種類やメリット・デメリット、手順を事例付きで解説
MROC(Marketing Research Online Communities)
オンライン上のコミュニティにモニターを集め、クローズドの環境で参加者はどこからでも自由に投稿をします。期間は1週間以上から1年程度まで続くこともあり、従来のリサーチ手法と比べて長期間行うのが特徴の一つです。
コミュニティ内の進行役は気になった投稿に対してリアクションをしたり、トピックを投稿したりして、インサイトの深堀をします。
エスノグラフィー調査(行動観察調査)
ワークショップ
参加者が事業担当者に限らず、生活者や外部の専門家やマーケター、他部署の人など様々な視点から意見を貰える点が特徴の一つです。ワークショップの経験豊富な人材を抱えている調査会社もあるため、効果的なワークショップにするために問い合わせてみるのも良いかもしれません。
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定性調査のメリットとデメリット
定性調査のメリット
また、自由に質問をすることができるため、会話の中で質問者自身も想定していなかったニーズの発見に繋がることがあります。
定性調査のデメリット
定量調査とは
定量調査の特徴としては、リサーチの対象者人数が多く、一般的に言える結果を得ることが出来ます。ただし、信頼性の高いデータとして扱うには多くのサンプルが必要です。
統計的に意味のあるサンプル数がどれくらいなのかについては、「アンケートのサンプルサイズの設定ってどうしたらいい?」の記事で解説しておりますので併せてご覧ください。
【関連記事】定量調査のやり方とは?回答例や定性調査との使い分け方を紹介
定量調査の主なやり方
ネットリサーチ
また、統計的に信頼のあるサンプル数を取る場合、多くのサンプルが必要になりますがネットリサーチは比較的大量のサンプルを安価に回収することが出来る点が特徴となっております。
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会場調査(CLT)
ホームユーステストに比べて、短時間で一定のデータを取得することができ、簡単なインタビューなども同時に行うことが出来ることが特徴になります。
ホームユーステスト(HUT)
実際の生活の中で使用してもらうため、商品の購入意向や、競合商品との比較、商品のストロングポイントなどを諮ることが出来ます。
新商品を市場に投入する前のコミュニケーションプランの策定、受容性の測定、新しいニーズの発見などを得ることが期待されます。
郵送調査
一方で、ネット環境がない方(高年齢層など)へのリサーチを行うには適している方法となっているので、現在でも広く行われている手法となります。
街頭調査
調査対象者の属性がはっきりしている場合、該当する人の多いエリアや施設に赴いてリサーチを行います。
テレビや雑誌などの企画で行われることが多い手法です。
来店者(来場者)調査
利用(体験)後の生の意見を聴取でき、今後の施策に活かすことができるでしょう。
電話調査

定量調査のメリットとデメリット
定量調査のメリット
定量調査のデメリット
定量調査と定性調査の組み合わせ
定性調査の結果を元に定量調査を行う
マーケティング課題に直面した際、何がネックになっているのかが不明な場合、仮説を抽出するために定性調査を行います。そこから見えてきた課題について、定量調査で大多数に対し仮説を検証することで、その仮説がどれほど市場の中に当てはまるのかを検証します。
定量調査の結果を元に定性調査を行う
アンケートで市場の全体感を掴んだ上で、数字として出てきた結果に対して、「なぜ」、「どうやって」、「誰が」などを定性調査で掘り下げることで、より数字の意味を理解することができ、施策を考える上でヒントとなり得る情報を導き出すことができます。
定性調査の事例
弁護士法人 Authense法律事務所様の事例
対象者と直接対話することで、表面的な理由の裏にある本音を引き出せたとのことです。この調査から得られた気づきは、社会との対話を通じたブランド育成や情報発信に生かされています。
【関連記事】弁護士法人 Authense法律事務所様|オンラインインタビューユーザー事例|セルフ型アンケートツール|Surveroid(サーベロイド)
まとめ
・定性調査は「言葉」や「行動」を通じて、数値化できない消費者インサイトや行動の背景を深掘りする。
・定量調査は「数値」を用いて、市場全体の傾向把握や構築した仮説の統計的な検証を行う。
・インタビューなどの定性手法とネットリサーチなどの定量手法を組み合わせることで、より精度の高い分析が可能になる。
・解決したい課題に合わせて、「なぜ(理由)」を知りたいのか「どのくらい(実態)」を知りたいのかを明確にする。
自社が直面している課題から必要なアウトプットを逆算し、消費者の本音と市場の実態を捉える最適な調査を実施しましょう。
よくある質問
定性調査と定量調査はどちらを先に実施すべき?
決まった順序はなく、目的によって異なります。仮説がまだない段階では、まず定性調査で課題を発見し、その後定量調査で仮説を検証する流れが一般的です。逆に、定量調査で見えてきた数値の「なぜ」を深掘りしたい場合は、定量調査から定性調査へと進めます。
定性調査は何人くらいの対象者が必要?
グループインタビューであれば1グループ6名程度を複数グループ、デプスインタビューであれば5〜10名程度が目安です。統計的な代表性ではなく意見の多様性や深さを重視するため、定量調査ほど大きなサンプル数は必要ありません。
定性調査はオンラインでも実施できる?
可能です。オンラインインタビューツールを使えば、対象者の自宅など離れた場所からでもデプスインタビューやグループインタビューを実施でき、遠方の対象者や特定属性の方にもアプローチしやすくなります。
定性調査と定量調査を同時並行で進めることはできる?
可能です。例えば定量調査のアンケート回答者の中から定性調査(インタビュー)の対象者を抽出するなど、1つのツールで両方を完結させることで、スケジュールとコストを効率化できます。
定性調査の結果はどのように分析すればいい?
発言や行動の記録をテーマごとに分類し、共通するパターンや象徴的な発言を抽出します。少数意見であっても、対象者の背景や状況を踏まえて解釈することが重要です。
少人数で実施する定性調査でも信頼できる結果が得られる?
定性調査は「多数に共通する実態」ではなく「個々の背景にある理由や心理」を明らかにすることが目的のため、少人数でも目的に対しては十分な情報が得られます。ただし市場全体への当てはまりを確認したい場合は、定量調査での検証が必要です。
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